先行請負契約方式……簡単な一般図(配置図・平面図・立面図・仕上表など)で、工事請負契

     約を締結してから、建築主と詳細打合せを行い、実施設計・確認申請を進める方式で

     す。

     本来、実施設計を済ませなければ正確な建築費の見積算出は不可能で、概算レベルの

     見積書となり、詳細打合せを行うにつれて追加費用が発生する確率が高い。


設計契約方式……設計事務所に設計依頼を行い、建物の実施設計を済ませてから、入札形式

     にて施工業者を決定し工事請負契約を 締結する方式で、一拾い形式の見積で納得した

     請負契約が締結できます。 但し、設計料(建築価格の8%〜12%)が発生し、工事

     着手(設計完了時)されるまでに設計料の約70%の費用を設計事務所に支払いする事

     になります。


本体工事単価形式(一括見積形式)……各社独自のルールを設け、見積が簡便に対応でき

     見積システムで、建物の床面積の大きさで本体単価を設定し、ルールから外れる項目を

     オプション扱いとしてプラスする。1軒当りの見積する労力はかからず、10分程度で十分

     に対応出来るシステムで、何回かの計画段階での変更を行うと矛盾した内容の見積書

     が出される場合がある。オプションの見積価格は利益率を高く設定し、特殊なプラン・

     仕様を要求すれば割高になる事が一般的です。


一拾い形式の見積書……一つ一つの材料の数量を拾い出し、各工事の施工にかかる職人さ

     んの手間代を算出して、積み上げ方式で算出された見積書を言う。見積内訳書があり、

     各材料の寸法・材質・数量が明確に表現され、内容が解りやすくコストダウン対応のポ

     イントや設計変更などを行った時の増減清算対応が明確になるメリットがあり、契約す

     る前の価格の比較検討を行うにも判断しやすく、納得した工事請負契約が締結できる。

     建築会社側の立場から言えば採用したくない見積形式で、見積を作成する事に時間・

     労力を要する以外に、細部の仕様や数量が明確になるために、詳細設計や後々の工

     事の段階での対応が、建築会社主導の対応が出来ず、悪く言えば消費者にごまかし

     が利かなくなるため嫌がります。


直接原価……1軒の家をつくるために必要な工事費の原価で、その建物に必要な材料費や職

     人さんの手間代および施工に必要な足場や養生するための費用です。住宅メーカーは

     全国展開・仕様の統一化を図り大量購入を条件に、各資材 の仕入れ原価は工務店な

     どと比べると一番安く仕入れられています。しかし、住宅展示場の出展費・維持費や

     TVの コマーシャル・豪華なカタログなどの広告宣伝費や本社の人件費や開発費など

     の間接経費が各見積書に乗り、販売価格が工務店に比べると高くつきます。


工事監理者……建築基準法では「建築主は建築士である工事監理者を定めなければならな

     い」と決められています。建築主が定める工事監理者とは、建築主に代わって設計図通

     りに工事が正しく行なわれているか、現場をチェックする責任があります。出来れば施工

     者側の立場でない「第3者」の工事監理者であれば、検査する目も厳しくなり、欠陥住宅

     ・手抜き工事が防止出来ます。

     ※工事カンリ者(工事監理者・工事管理者)には漢字の使い分けで2つの意味がありま

     す。1つは「工事監理者」で、建築主の立場に立って設計図通りに施工が行われている

     か、確認を行う者を言い、もう1つの「工事管理者」は施工者の立場で工事を適切に段取

     り良く行う者を表わして使い分けられています。


一括下請負の禁止……建設業法には、発注者(施主)より請け負った工事を、一括して下請業

     者に請け負わせる事を禁止しています。ただし、あらかじめ発注者より書面による承諾

     を得た場合は法律上は問題はありませんので、住宅メーカーは、必ず書面にて消費者

     の皆さんに書類で承諾を取る事になります。


細部にわたる仕様……建物が完成されて隠れる部分の仕様を明確にする事は建築主にとっ

     非常に重要な事です。この部分を業者側はあえて不明確にし、後々の工事に入っ

     ら各職人が手違いで対応したり、悪く言えば手抜き工事をしても建築主には解らず業者

     の都合の良い様に対応される場合があります。

     また、細部の仕様や納まりの違いで金額的にも、建物の性能的にも大きく変わってきま

     す。例えば、集成材でも材質・強度はどの様なグレードか?基礎の形式(布基礎・ベタ基

     礎)は解っているが、底版の厚み・鉄筋の形状やピッチ、コンクリートの設計強度はどの

     クラスで設計・施工されるのか?構造計算の安全率はどの程度見ているのか?通気対

     応の胴縁は防腐 対応がされているのか?防湿シートのグレードはどうなっているのか、

     また開口部の防水対応はどのように対応するのか?

     言い出せばきりが有りません。最低重要なポイントの細部にわたる仕様は明確にして契

     約する事をお勧めします。

     ※建築主のためのチェックシート「プラン編」・「仕上編」・「建具編」・「住設編」・「設備編」・「性能編」・
      「構造材編」を参照ください。


競争見積形式……基本的に同じ条件で建築会社の数社から価格競争原理を活用して見積を

     収得し、価格面での適正化を図る。これは当然、競争見積である事を建築会社にオー

     プンにして対応するため、現状の値引きを上乗せした見積書ではなく建築会社が企業

     努力できる最終金額と判断して依頼先の決定を行なう事になります。各住宅メーカー

     は、競合他社との価格勝負(見積比較)を避けるため、本体工事単価形式(一括見積

     形式)、及び標準装備化を図り、同じ条件での価格比較を行うには不向きではあります

     が、価格の差が適正な仕様の差であるならば消費者の皆さんも納得できるはずです。



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