断熱性能の違いについて (平成21年版)

●断熱性能基準の種類  (断熱性能レベル)

断熱性能の種類

断熱性能には、大きく分けて旧省エネ基準新省エネ基準次世代省エネ基準の3段階の性能に分けられます。

住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)の仕様で言うならば、旧省エネ基準は最低レベルの断熱基準で、【フラット35】の融資の必須条件で、旧省エネ基準以上を採用しなければ融資を受ける事はできません。

また、次世代省エネ基準は、断熱性能に優れ、北海道や東北、北陸などの寒い地域に多く採用され、住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)の融資で、当初5年間0.3%の金利優遇、【フラット35】S(優良住宅取得支援制度を受ける事ができメリットがあります。

断熱性能の種類

また、平成12年から施行された、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(品確法)の住宅性能表示基準でいうと、旧省エネ基準等級2新省エネ基準等級3次世代省エネ基準等級4に概ね該当します。

尚、トップランナー基準は、平成21年に住宅の設備まで含めた総合的な省エネ性能について定めた、「特定住宅に必要とされる性能の上向に関する住宅事業主の判断の基準」(告示)の内容ですが、躯体及び開口部の断熱性能は、フラット35S(省エネルギー性)と同じです。


あなたの計画中の建物の断熱性能は、どのランクの性能がありますか?


各断熱基準の性能は、旧省エネ基準(等級2)<新省エネ基準(等級3)<次世代省エネ基準(等級4)の順に優れていますが、断熱性能の地域区分に応じて、T・U・V地域は次世代省エネ基準W地域は新省エネ基準最低基準として採用する事をお勧めいたします。

断熱性能の違い    「フラット35(住宅金融支援機構の仕様)による各省エネ基準の比較」

各断熱基準の違いは、概ね下記内容です。

省エネ基準の違い
項目 旧省エネ基準 新省エネ基準 次世代省エネ基準 備考
住宅金融支援機構の仕様 @融資要件 A基準金利適用住宅(省エネルギータイプ)
B省エネルギー住宅(一般型)割増融資
Cフラット35S(省エネルギー性)
Dフラット35S(20年金利引下げタイプ)
住宅金融支援機構の仕様とは【フラット35】技術基準(工事共通仕様書)を言います。
性能表示での等級 2等級 3等級 4等級 
断熱地域区分 住宅金融支援機構(旧公庫基準)にて定められた地域区分、T地域からX地域までの5地域に分けられています。 住宅性能表示の地域区分については、住宅金融支援機構の基準と若干違います。
断熱材の施工部位
  1. 住宅の屋根(※1)又は屋根の直下の天井(※2)。
  2. 外気に接する壁。
  3. 外気に接する床及び床下換気孔により外気と通じているその他の床。
  1. 住宅の屋根(※1)又は屋根の直下の天井(※2)。
  2. 外気に接する壁。
  3. 外気に接する床及び床下換気孔により外気と通じているその他の床。
  4. 外気に接する土間床の外周部及び床下換気孔により外気と通じているその他の土間床等の外周部。
  1. 住宅の屋根(※1)又は屋根の直下の天井(※2)。
  2. 外気に接する壁。
  3. 外気に接する床及び床下換気孔により外気と通じているその他の床。
  4. 外気に接する土間床の外周部及び床下換気孔により外気と通じているその他の土間床等の外周部。
新省エネ基準の4、に於いては、断熱地域区分にて、外気に接する土間床等の断熱箇所が不要な場合があります。
断熱材の厚み 【屋根又は天井】
     40mm

【外壁】
     30mm
【外気に接する床】
     25mm
【その他の床】
     20mm



※全ての地域で、土間床等の外周部の規定はありません。
【屋根又は天井】
     90mm(2.25倍※4)

【外壁】
     60mm(2.0倍※4)
【外気に接する床】
     65mm(2.6倍※4)
【その他の床】
     40mm(2.0倍※4)
【外気に接する土間床等】
     規定なし
【その他の土間床等】
     規定なし

※W・X地域は、土間床等の外周部の規定はありません。
【屋根又は天井】※3
     屋根230mm(5.75倍※4)
     天井200mm(5.00倍※4)
【外壁】
     110mm(3.66倍※4)
【外気に接する床】
     135mm(5.4倍※4)
【その他の床】
     90mm(4.5倍※4)
【外気に接する土間床等】
     70mm
【その他の土間床等】
     20mm
下記の条件に統一して比較
地域区分 W地域
●天井断熱材
   A-2クラス
●壁 断熱材
   A-2クラス
●床 断熱材
   C  クラス
●充填断熱工法

断熱材のクラス参照
気密仕様の必要性の有無 規定なし 断熱地域区分のT地域のみ気密仕様が必要。

現状は平成21年4月1日より改正され規定なし。
全ての地域にて気密仕様が必要。

現状は平成21年4月1日より改正され規定なし。
気密工事を行う場合の気密住宅の仕様については、家づくり資料室「気密住宅の仕様」参照して下さい。
開口部の断熱性能 規定なし 断熱地域T、U及びVにおいて、開口部の断熱性能が要求されます。但しW地域以降は規定はありません。 各地域区分において、開口部の断熱性能が要求されます。開口部の断熱性能の基準は、家づくり資料室「開口部の断熱性能基準」参照して下さい。
開口部の気密性能 規定なし 地域Tにおいては、建具の気密性等級を「A-3」又は「A-4」とする。但し、熱貫流率が2.33以下の場合は気密性等級は要求されません。

現状は平成21年4月1日より改正され必須条件規定は無し。
地域T又はUの開口部は、「A-4」、地域V〜Xの開口部は、「A-3」又は「A-4」を満たす事が望ましい。

現状は平成21年4月1日より改正され必須条件規定は無し。
省エネ法の改正に伴い、住宅金融支援機構の仕様より必須条件のアンダーラインは削除されましたが、適用が望ましい基準です。
日射遮蔽の措置 規定なし 地域V、W及びXにおいて、方位が東北東から南を経て、西北西までの範囲に面する窓に、日射の遮蔽措置を行なう事が望ましい。 各断熱地域区分に応じて、日射侵入防止措置を行なう必要があります。 開口部の日射遮蔽の措置基準は、家づくり資料室「日射遮蔽措置の基準」参照して下さい。
尚、新省エネ基準では推奨基準扱いでした。
構造材及び主要な下地材の対応 規定なし 断熱構造部を構成する構造材(柱・梁・横架材)及び主要な下地材(間柱・床根太等)には含水率20%以下の乾燥した材料を用いる事が望ましい。 ← 新省エネ仕様と同じ   
防湿材の施工 繊維系断熱材(※5)及びプラスチック系断熱材(※6)その他これらに類する透湿抵抗の小さい断熱材を使用する場合は室内側に防湿層を設ける。但し、下記の場合は不要。
  1. 土塗り壁の外側に断熱層が有る場合。
  2. 床断熱にて、断熱材下側が床下に露出する場合、又は湿気の排出を妨げない構成となっている場合。
  3. 断熱層が単一材料で均一に施工され、透湿抵抗比が下記の値以上の場合。
    ・T及びU地域 壁4 屋根又は天井5
    ・V地域     壁2 屋根又は天井3
    ・W及びX地域 壁2 屋根又は天井2
規定は無かった。 繊維系断熱材(※5)及びプラスチック系断熱材(※6)その他これらに類する透湿抵抗の小さい断熱材を使用する場合は室内側に防湿層を設ける。但し、下記の場合は不要。
  1. 土塗り壁の外側に断熱層が有る場合。
  2. 床断熱にて、断熱材下側が床下に露出する場合、又は湿気の排出を妨げない構成となっている場合。
  3. 断熱層が単一材料で均一に施工され、透湿抵抗比が下記の値以上の場合。
    ・T及びU地域 壁5 屋根又は天井6
    ・V地域     壁3 屋根又は天井4
    ・W及びX地域 壁2 屋根又は天井3
省エネ法の改正に伴い、平成21年4月1日より、住宅金融支援機構の仕様に新たな追記された基準です。
施工関係の詳細については、「断熱工事の施工基準」をご覧下さい。
※1 小屋裏又は天井裏が外気に通じていない場合。
※2 小屋裏又は天井裏が外気に通じている場合。
※3 フラット35Sについては、屋根と天井で断熱材の厚みが違います。
※4 フラット35(旧省エネ基準)の融資要件の断熱性能に対する、各断熱性能の倍率を表しています。
※5 グラスウール、ロックウール、セルローズファイバー等を指します。
※6 プラスチック系断熱材は、建築物断熱用吹付け硬質ウレタンフォームA種3又はA種フェノールフォーム3種2号を指します。
  1. 上記記載の各省エネ基準は、フラット35(住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)の仕様)の各省エネ基準を掲載しています。 尚、新省エネ基準については、現状住宅金融支援機構では運用されていませんが、断熱性能のレベルを計る上で旧基準金利適用住宅(省エネルギータイプ)の内容(等級3)について掲載しております。
  2. 上記記載の次世代省エネ基準の各項目に記載している内容は、Cフラット35Sの省エネルギー対策等級4について記載しています。また、Dフラット35S(20年金利引下げタイプ)と断熱性能は同じですが、設備機器等の省エネルギー対応が必要です。詳細については「フラット35S(20年金利引下げタイプ)」をご覧下さい。
  3. 項目欄にアンダーラインがある事項は、フラット35(住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)の仕様)を採用する場合は、各省エネ基準に記載している内容は必須条件となります。
  4. 施工関係の違いについては、「断熱工事の施工基準」をご覧下さい。
  5. 赤字は、省エネ法改正に伴い平成21年4月1日より改訂された内容です。


新省エネ基準の断熱性能は、旧省エネ基準の概ね2倍〜2.25倍、次世代省エネ基準の断熱性能は、旧省エネ基準の概ね3.66倍〜5倍、新省エネ基準と比較すると、概ね1.83倍〜2.25倍の断熱性能があります。


断熱基準の比較

断熱の地域区分にもよりますが、W地域は最低でも新省エネ基準、出来れば次世代省エネ基準まで採用したいところです。



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