建物性能の基礎知識/断熱性能(省エネ対策)

住宅では、断熱性能や気密性を数値化することで、快適な住まいの目安とされています。
Q値K値断熱性能を、C値気密性能を表します。各値とも数値の低いほうが断熱性能に優れており、平成11年3月、国土交通省・経済産業省告示の「次世代省エネルギー基準」にて、各地域ごとに数値が定められています。
これらの数値を比較することで住宅の断熱性能を判断することができます。

断熱化・気密化の効果

効果的な断熱化・気密化された住まいでは居室間の温度差、及び床と天井付近の温度差も小さくなり、快適な温熱環境が実現できます。


断熱性能の基礎知識


Q値とは?・・・・・・・・・・建物全体の断熱性能をあらわします。(w/uk)

熱損失係数

Q値とは
熱損失係数」と言い断熱性能を表す指標です。数値が少ない方が断熱性能が優れていて省エネ効果があります。

床・壁・天井・窓などの外気に面しているところでは、常に熱の移動がおきています。また、換気・隙間風による熱の逃げもあります。それらの全ての熱の逃げを合計したものが「総熱損失量」(室内外1℃差の時に建物全体から逃げる熱量)です。


総熱損失量 Wt(w/k)=Qa+Qb+Qc+Qd+Qe+Qv


総熱損失量を延床面積で割った数値が「熱損失係数」Q値です。

熱損失係数Q(w/uk) =  総熱損失量Wt(w/k)
   延床面積A(u)

熱損失係数Q値を求めるには以下の項目が必要です。

(1)使用部材の「熱伝導率」
(2)外気に接する各部位の「熱貫流率」
(3)延床面積
(4)気積
(5)換気回数

(1)熱伝導率とは、・・・・・・「λ」(w/mK)

各材料の熱の伝えやすさを表す指標で、値が低いほど熱を伝えにくく断熱性能が優れています。

熱伝導率

(2)熱抵抗値とは、・・・・・・「R」(K/W)

熱の伝えにくさを表し、数値が大きいほど断熱性能が優れています。

※各材料の「熱伝導率λ」とその「厚さd」から算出します。

熱抵抗値R=厚さd/熱伝導率λ

・・・・・・・・・「熱抵抗値」はこんなときに使います・・・・・・・・・・

熱抵抗値


K値とは?・・・・・・・・・・壁や床などの部位の断熱性能をあらわします。(w/uk)

K値とは
熱貫流率」と言い各部位の断熱性能を表す指標です。数値が少ない方が断熱性能が優れていて省エネ効果があります。

各材料の「熱伝導率λ」とその「厚さd」から算出し、「熱抵抗値R」の逆数です。室内外の温度さが1℃の時に各部位1u当たりで1時間に流れる熱量の割合を表します。

熱貫流率

Q値の計算例はこちらへ


C値とは?・・・・・・・・・・建物全体の気密性能をあらわします。

C値とは
隙間相当面積」と言い気密性能を表す指標です。数値が少ない方が気密性能が優れていて省エネ効果があります。

建物全体の隙間面積を延床面積で割った数値(1u当たりの隙間面積)で、建物のトータルな気密性能をあらわします。隙間が少ないはど効果的な冷暖房が行なえます。

断熱性・気密性の基準

省エネルギー基準

断熱材

住宅の省エネルギー化は、消費エネルギーの節約や住空間の快適性だけでなく、二酸化炭素の排出を抑えて、地球温暖化対策にも貢献しています。国は昭和55年に省エネルギー法に基づく住宅の断熱性能基準「省エネ基準」を定め、平成4年に「新省エネ基準」、平成11年に「次世代省エネ基準」と、内容の見直し・強化が図られてきました。  これらの基準は強制力を伴いませんが、たとえば住宅金融公庫の融資において、いずれかの基準を満たすと、最も低い基準金利の適用や一定額の割増融資が受けられます。
また、「住宅性能表示」の「温熱環境」については、「次世代省エネ基準」をクリアすれば最高ランクの等級4、「新省エネ基準」をクリアすれば等級3となります。  このように、「次世代省エネ基準」などは、住宅の建築における省エネ・断熱性の重量な目安となっています。

性能表示省エネルギー対策等級

公庫の省エネルギー住宅(次世代型)及び優良住宅取得支援制度(省エネルギー対策等級4)、並びに住宅性能表示の省エネルギー対策等級4は、「エネルギーの使用の合理化に関する法律」(昭和54年)の「建築主の判断基準」及び「設計・施工指針」が基本となります。

各省エネ基準については、「断熱性能の違いについて」を参照下さい。


●断熱性能の地域区分

断熱性能地域区分

住宅の省エネルギー基準において、全国の気象条件に応じて5つの断熱性能地域に区分されています。
適合する地域区分に応じて断熱性能基準が設けられ、断熱材の厚み・開口部の断熱性・気密性能などが規定されています。


地域区分の詳細は、住宅金融公庫の断熱性能の地域区分を参照。


●断熱を行う部分

断熱材必要箇所

居住空間をスッポリとつつみこむ様に、外気に接している天井(又は屋根)・外壁・床に断熱材を設けるようにします。
この場合、天井(又は屋根)における断熱材は、外気に通じる小屋裏換気口を設ける場合には天井に、それ以外の場合は屋根に断熱材を設けます。
また、床を土間床とする場合は、その外周部にも断熱工事を行なう必要があります。(但し W・X地域の新省エネ基準は不要)


省エネルギー基準値(断熱材の厚み)

1),新省エネ基準値    (W地域を基本に記載しています。)

新省エネ基準による断熱材の厚みは、断熱地域区分・施工部位・断熱材(表−1)の種類に応じ、下記表に掲げる断熱材の数値以上の厚みが必要です。

【W地域のにおける新省エネ住宅の断熱材の厚みは下記による。】

気密住宅とする場合
部位必要な
熱抵抗値
断熱材の種類と厚み(mm)
A−1A−2
屋根又は天井1.2656055504535
0.8454040353025
外気に接する部分1.0555045403530
その他の部分0.5302525202015
土間床等の外周部外気に接する部分
その他の部分
気密住宅以外とする場合
部位必要な
熱抵抗値
断熱材の種類と厚み(mm)
A−1A−2
屋根又は天井1.8959085756555
1.2656055504535
外気に接する部分1.6858075655545
その他の部分0.9504545403530
土間床等の外周部外気に接する部分
その他の部分

【W地域のにおける新省エネ住宅の開口部の断熱性について。】

新省エネ基準でのW地域は、特に開口部の基準は設けられていませんが、住宅金融公庫の割り増し融資を受ける場合は、熱貫流率が4.65(w/uk)以下の建具を設ける必要があります。

W地域以外の新省エネ基準の断熱材の厚みは、こちらを参照 ⇒  T地域U地域V地域X地域


2),次世代省エネ基準値    (W地域を基本に記載しています。)

次世代省エネ基準による断熱材の厚みは、断熱地域区分・施工部位・断熱材(表−1)の種類に応じ、下記表に掲げる断熱材の数値以上の厚みが必要です。また、次世代省エネは、気密住宅にすることが義務つけられています。

【V〜X地域のにおける次世代省エネ住宅の断熱材の厚みは下記による。】

充填断熱工法とする場合
部位必要な
熱抵抗値
断熱材の種類と厚み(mm)
A−1A−2
屋根又は天井屋根4.6240230210185160130
天井4.0210200180160140115
2.2115110100907565
外気に接する部分3.317516515013511595
その他の部分2.2115110100907565
土間床等の外周部外気に接する部分1.7908580706050
その他の部分0.5302525202015
外張断熱工法とする場合
部位必要な
熱抵抗値
断熱材の種類と厚み(mm)
A−1A−2
屋根又は天井4.0210200180160140115
1.7908580706050
外気に接する部分2.51301251151008570
その他の部分
土間床等の外周部外気に接する部分1.7908580706050
その他の部分0.5302525202015

【W地域のにおける次世代省エネ住宅の開口部の断熱性について。】

次世代省エネ基準でのW地域は、熱貫流率が4.65(w/uk)以下の建具を設ける必要があります。また、JIS A4706(サッシ)に定める気密性等級「A−3」若しくは「A−4」を満たす必要があります。

V〜X地域以外の次世代省エネ基準の断熱材の厚みは、こちらを参照 ⇒ T地域U地域


断熱材の種類

断熱材の種類(表ー1)
記号断熱材の種別記号断熱材の種別
A−1吹込み用グラスウールGW−1・GW−2住宅用グラスウール24K・32K相当
吹込み用ロックウール35K高性能グラスウール16K・24K相当
シージングボード吹込み用グラスウール30K・35K相当
 住宅用ロックウール(マット・フェルト・ボード)
A−2吹込みロックウール25Kビーズ法ポリスチレンフォーム1号・2号・3号
A級インシュレーションボード押出法ポリスチレンフォーム1種
住宅用グラスウール10K相当ポリスチレンフォームA種
 吹込み用セルローズファイバー25K
 吹込み用セルローズファイバー45K・55K(接着剤併用)
 フェノールフォーム保温板2種1号
住宅用グラスウール16K相当ビーズ法ポリスチレンフォーム特号
ビーズ法ポリスチレンフォーム4号押出法ポリスチレンフォーム2種
ポリスチレンフォームB種フェノールフォーム保温板1種1号・2号、2種2号
タタミボード押出法ポリスチレンフォーム3種
 硬質ウレタンフォーム
 吹付け硬質ウレタンフォーム(現場発泡品)

断熱材の工法

充填断熱工法とは?

柱などの構造部材間の空間に断熱材を詰め込み断熱する工法

外張断熱工法とは?

柱などの構造部材の外気側に断熱材を張り付ける工法

気密住宅とは?

隙間面積を減らすために、防湿気密シート等にて室内を覆うことで、床面積1u当たりの隙間相当面積が5.0cu以下の住宅を気密住宅と定義付けられています。尚 床面積1u当たりの隙間相当面積3.0cu以下を高気密住宅と一般的には言われています。

また、住宅金融公庫の基準金利適用住宅(新省エネルギー住宅)では、床面積1u当たりの隙間相当面積が5.0cu以下の気密住宅が定義され、断熱地域区分のT地域のみ気密住宅とすることを要件とされていますが、割増し融資の適用を受ける次世代省エネでは、全ての地域に気密性能を要件とし、T・U地域では隙間相当面積2.0cu以下、その他の地域は5.0cu以下とすることが規定されています。

気密住宅では、気密性が高まることで計画換気(24時間換気システム)が必要です。24時間換気システムについてはこちらを参照して下さい。
また、気密住宅の詳細仕様についてはこちらを参照して下さい。→気密住宅の仕様

開口部の断熱性

サッシの結露

窓などの開口部は、厚みはなく隙間があるため、流出する熱エネルギーの割合は約48%にもなると言われています。2枚のガラス間に乾燥空気を封入した複層ガラスは、単板ガラスと比較して約1.5 倍の断熱性能があります。

熱の流出


また、単板ガラスでは室内外に大きな温度差ができると、ガラス面に結露することがあります。複層ガラスでは、単板ガラスに比べ断熱性能が優れ、結露も発生しにくくなります。
また、アルミと樹脂を組み合わせて作られた複合樹脂サッシでは、ガラス面以外の結露も防ぐことができます。

複層ガラスと複合樹脂サッシの構造

更に、省エネ効果を上げるために、特殊金属をコーティングした板ガラスを室内側に設ける高断熱複層ガラス(寒い地域)や外部側に設ける遮熱複層ガラスなどもあります。


高断熱複層ガラスとは?

複層ガラスの室内側の中空層側に特殊金属をコーティングされた板ガラスを使用することで、日射エネルギーを効率よく採り入れ、しかも暖房熱は室内側に反射させることにより、暖房効果にすぐれた断熱ガラスです。寒いT地域・U地域に適した複層ガラスです。

遮熱複層ガラスとは?

複層ガラスの室外側の中空層側に特殊金属膜をコーティングされた板ガラスを使用することで、断熱性能と日射熱軽減性を兼ね備えた複層ガラスです。
夏場の太陽の日射を抑え、冬場の室内暖房熱を逃がさないため、夏の冷房効果に優れた断熱ガラスです。

断熱複層ガラス

開口部の断熱性能基準はこちらをご覧下さい。


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