建物性能の基礎知識/断熱性能(省エネ対策)

住宅では、断熱性能や気密性を数値化することで、快適な住まいの目安とされています。
Q値K値断熱性能を、C値気密性能を表します。各値とも数値の低いほうが断熱性能に優れており、平成11年3月、国土交通省・経済産業省告示の「次世代省エネルギー基準」にて、各地域ごとに数値が定められています。
これらの数値を比較することで住宅の断熱性能を判断することができます。

断熱化・気密化の効果

効果的な断熱化・気密化された住まいでは居室間の温度差、及び床と天井付近の温度差も小さくなり、快適な温熱環境が実現できます。


【 省エネルギー法の経緯 】

「エネルギーの使用の合理化に関する法律」の一部改正により、平成21年4月1日(2009年)より気密性能に関する基準が削除されており、その分断熱材の室内側における防湿層の設置基準が新たに設けられました。


平成25年(2013年)建築物全体の省エネルギー性能をよりわかりやすく把握できる基準とするために、「エネルギーの使用の合理化に関する法律」が改正され、「一次エネルギー消費量」を指標とした建物全体の省エネルギー性能を評価する基準に変更されました。また、外壁や窓等の断熱性能については、適切な温熱環境の確保などの観点から一定の水準(平成11年基準相当)が引き続き求められています。
尚、改訂内容は、@一次エネルギー消費量基準の導入。A外皮の断熱性能について、熱損失係数(Q値)から外皮平均熱貫流率(UA値)、夏期日射取得係数(μ値)から冷房期の平均日射熱取得率(ηA値)へ対応変更。B住宅戸と非住宅建築物の地域区分が8区分に統一されました。  改正省エネ法(平成25年版) → 省エネ判断基準(平成25年版)省エネ設計施工指針(平成25年版)断熱地域区分(平成25年版) 参照。


平成27年7月8日(2015年)公布の「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(以下建築物省エネ法)」(建築物省エネ法(平成28年版))が平成28年4月1日(2016年)により部分的に表示制度、容積率特例の誘導基準が施行され、平成29年4月1日(2017年)から適合義務、届出等の規制措置についても施行されました。
この施行により「エネルギーの使用の合理化等に関する法律(以下省エネ法)」において定められていた建築物の省エネルギーにかかる措置については、建築物省エネ法が引き継ぐ形となりました。  省エネ判断基準(平成28年版)建築物省エネ省令(平成28年版)建築物省エネ告示(平成28年版)告示地域区分(平成28年版) 参照


「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(建築物省エネ法)」の改正法が令和元年(2019年)に公布され、令和3年(2021年4月)より中規模建築物の適合義務化への拡大、小規模建築物(住宅・非住宅建築物共)の新たな説明義務化等が導入されます。尚、この改正において建築物エネルギー消費性能基準等の改正はありません



断熱性能の基礎知識


●UA値とは?・・・・・・・・・・建物全体の断熱性能をあらわします。(w/uk)

外皮平均熱貫流率

A(ユー・エー)値とは
外皮平均熱貫流率」と言い、建物全体の断熱性能を表す指標です。数値が少ない方が断熱性能が優れていて省エネ効果があり、単位温度差当りの総熱損失量を外皮表面積で除したものです。

外皮平均熱貫流率(UA値)は、住宅の内部から床、外壁、屋根(天井)や開口部などを通過して外部へ逃げる熱量を外皮全体で平均した値です。外皮平均熱貫流率の値が小さいほど熱が逃げにくく、省エネルギー性能が高いことを示します。


※平成25年の省エネ法の大改正にて、Q値からUA値へ変更されました。また、建築物省エネ法(略称)にて改正されています。

外皮平均熱貫流率の基準値は、「住宅に係るエネルギーの使用の合理化に関する建築主及び特定建築物の所有者の判断基準(平成25年改訂版)」の地域区分(別表第4)に応じた外皮平均熱貫流率の基準を参照。

最新の外皮平均熱貫流率の基準値は、「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(平成28年改訂版)」の「建築物エネルギー消費性能基準等を定める省令における算出方法等による事項」(告示第265号)の地域区分(別表10)に応じた外皮平均熱貫流率の基準を参照。



●ηA値とは?・・・・・・・・・・建物全体の日射による熱の侵入をあらわします。

冷房期の平均日射熱取得率

ηAC(イータ・エー・シー)値とは
冷房期の平均日射熱取得率」と言い、建物全体の日射による熱の侵入を表す指標です。数値が少ない方が夏場の外部の日射熱による影響が少なく省エネ効果があり、単位日射強度当りの総日射熱取得量を外皮表面積で除したものです。

また反対に、暖房期の平均日射熱取得率をηAH(イータ・エー・エイチ)値といいます。


※平成25年の省エネ法の大改正にて、μ値からηA値へ変更されました。従前は単位温度差当りの総熱損失量を床面積で割っていましたが、外皮表面積で割る基準になりました。

外皮平均熱貫流率の基準値は、「住宅に係るエネルギーの使用の合理化に関する建築主及び特定建築物の所有者の判断基準(平成25年改訂版)」の地域区分(別表第4)に応じた冷房期の平均日射熱取得率を参照。

最新の外皮平均熱貫流率の基準値は、「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(平成28年改訂版)」の「建築物エネルギー消費性能基準等を定める省令における算出方法等による事項」(告示第265号)の地域区分(別表10)に応じた冷房期の平均日射熱取得率を参照。



U値とは?・・・・・・・・・・壁や床などの部位の断熱性能をあらわします。(w/uk)

熱貫流率

U(ユー)値とは
熱貫流率」と言い各部位の断熱性能を表す指標です。数値が少ない方が断熱性能が優れていて省エネ効果があります。

各材料の「熱伝導率λ」とその「厚さd」から算出し、「熱抵抗値R」の逆数です。室内外の温度さが1℃の時に各部位1u当たりで1時間に流れる熱量の割合を表します。



尚、平成21年4月に施行された改正省エネ法において、熱貫流率を表す記号が国際的に統一され、「K値」から「U値」に変更されました。   U(ユー)値=K(ケー)値


(1)線熱貫流率とは、・・・・・・「Ψ(プサイ)」(w/mK)

基礎の土間床等の外周部における長さ当りの熱貫流率をいいます。他の部位と同様に熱貫流率(U)という表現になっていましたが、長さ当りの数値であることを明確にするため、線熱貫流率(Ψ)という表現に変更されています。

(2)温度差係数とは、・・・・・・「(エイチ)」(−)

隣接する空間との温度差を勘案して、部位の熱損失量を補正する係数です。

(3)単位温度差当りの外皮熱損失量とは、・・・・・・「(スモール・キュー)」(W/K)

内外の温度差1℃の場合の部位の熱損失量の合計です。各部位の熱損失量の合計(=住宅全体の熱損失量)を言い、略して「外皮熱損失量」ともいわれています。

(4)外皮面積の合計とはとは、・・・・・・「ΣA(シグマ・エー)」(u)

外皮とは、熱的境界を構成部位で、外壁や屋根等の一般部位、開口部、基礎等および土間床の総称です。

外皮面積の合計

(5)方位係数とは、・・・・・・「ν(ニュー)」(−)

日射の影響は地域や方位によって異なるため、その影響を勘案して地域区分及び方位毎に日射熱取得量を補正する係数です。冷房期の方位係数をνc(ニュー・シー)、暖房期の方位係数をνH(ニュー・エイチ)といいます。

(6)窓の取得日射熱補正係数とは、・・・・・・「f(エフ)」(−)

庇などの日除け、地表面反射の影響を考慮するために、日射熱の侵入割合を補正する係数です。地域やガラスの種類によって異なります。冷房期の補正係数をfc(エフ・シー)、暖房期の補正係数をfH(エフ・エイチ)といいます。

(7)単位日射強度当りの冷房期の日射熱取得量とは、・・・・・・「c(エム・シー)」(W/(W/u))

水平面における全天日射量1W/uあたり、住戸が取得する熱の冷房期間平均値のことで、冷房期の各部位の日射熱取得量の合計(=住宅全体の日射熱取得量)をいいます。略して「冷房期の日射熱取得量」ともいう。

(8)単位日射強度当りの暖房期の日射熱取得量とは、・・・・・・「H(エム・エイチ)」(W/(W/u))

水平面における全天日射量1W/uあたり、住戸が取得する熱の暖房期間平均値のことで、暖房期の各部位の日射熱取得量の合計(=住宅全体の日射熱取得量)をいいます。略して「暖房期の日射熱取得量」ともいう。


●Q値とは?・・・・・・・・・・建物全体の断熱性能をあらわします。(w/uk)

熱損失係数

Q(キュー)値とは
熱損失係数」と言い断熱性能を表す指標です。数値が少ない方が断熱性能が優れていて省エネ効果があります。

床・壁・天井・窓などの外気に面しているところでは、常に熱の移動がおきています。また、換気・隙間風による熱の逃げもあります。それらの全ての熱の逃げを合計したものが「総熱損失量」(室内外1℃差の時に建物全体から逃げる熱量)です。


総熱損失量 Wt(w/k)=Qa+Qb+Qc+Qd+Qe+Qv


総熱損失量を延床面積で割った数値が「熱損失係数」Q値です。

熱損失係数Q(w/uk) =  総熱損失量Wt(w/k)
   延床面積A(u)

熱損失係数Q値を求めるには以下の項目が必要です。

(1)使用部材の「熱伝導率」
(2)外気に接する各部位の「熱貫流率」
(3)延床面積
(4)気積
(5)換気回数

熱伝導率とは、・・・・・・「λ(ラムダ)」(w/mK)

各材料の熱の伝えやすさを表す指標で、値が低いほど熱を伝えにくく断熱性能が優れています。

熱伝導率

(2)熱抵抗値とは、・・・・・・「R(アール)」(K/W)

熱の伝えにくさを表し、数値が大きいほど断熱性能が優れています。

※各材料の「熱伝導率λ」とその「厚さd」から算出します。

熱抵抗値R=厚さd/熱伝導率λ

・・・・・・・・・「熱抵抗値」はこんなときに使います・・・・・・・・・・

熱抵抗値

Q値の計算例はこちらへ



※平成25年省エネ法の大改正により、熱性能基準が熱損失係数(Q値)による基準から、外皮平均熱貫流率(UA値)による基準に変更されました。
これは、従前(Q値)の総熱損失量/床面積から総熱損失量/外皮表面積の分母が改正されています。総熱損失量の求め方は従前(Q値)と同じです。



●一次エネルギー消費量とは?

一次エネルギー消費量

一次エネルギー消費量とは
「空調・暖冷房設備」、「換気設備」、「照明設備」、「給湯設備」、「昇降機」、「事務機器・家電調理等」のエネルギー消費量を合計して算出します。

また、エネルギー利用効率化設備(太陽光発電設備やコージェネレーション)によるエネルギーの創出効果は、エネルギー削減量として差し引くことができます。

一次エネルギー消費量基準の考え方は、評価対象となる建物において地域区分や床面積等の共通条件のもと、実際の建物の設計仕様で算定した設計一次エネルギーが、基準仕様(平成11年基準相当の外皮と標準的)で算定した基準一次エネルギー消費量以下となることを基本とします。




基準一次エネルギー消費量≧設計一次エネルギー消費量


※平成25年省エネ法の大改正により、一次エネルギー消費量基準が新たに導入されました。その後「建築主等の判断基準(略称)」の改正及び「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(平成28年改訂版)」の公布等にて改正されました。


「住宅に係るエネルギーの使用の合理化に関する建築主及び特定建築物の所有者の判断基準(平成25年改訂版)」の地域区分(別表第4)に応じた基準一次エネルギー消費量及び設計一次エネルギー消費量の算出方法を参照。

改正により、「住宅に係るエネルギーの使用の合理化に関する建築主及び特定建築物の所有者の判断基準(平成28年改訂版)」の地域区分(別表第4)に応じた基準一次エネルギー消費量及び設計一次エネルギー消費量の算出方法を参照。

最新の一次エネルギー消費量の算定方法については、新規公布により「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(平成28年改訂版)」の「建築物エネルギー消費性能基準等を定める省令における算出方法等による事項」(告示第265号)の地域区分(別表10)に応じた基準一次エネルギー消費量及び設計一次エネルギー消費量の算出方法を参照。



●C値とは?・・・・・・・・・・建物全体の気密性能をあらわします。

C(シー)値とは
隙間相当面積」と言い気密性能を表す指標です。数値が少ない方が気密性能が優れていて省エネ効果があります。

建物全体の隙間面積を延床面積で割った数値(1m2当たりの隙間面積)で、建物のトータルな気密性能をあらわします。隙間が少ないはど効果的な冷暖房が行なえます。

※平成25年省エネ法の大改正により、C値は性能評価の対象から外れています。



●μ値とは?・・・・・・・・・・夏期における日射の入りやすさをあらわします。

夏期日射取得係数

μ(ミュー)値とは
夏期日射取得係数」と言い夏期における日射の入りやすさをあらわし、μ値が小さいほど、日射が入りづらく、冷房効率が高くなります。

屋根・外壁・開口部から侵入する日射量の合計(建物に侵入する日射量)に建物の延床面積を除した値を指し、部位ごとの建物に侵入する日射量は下記計算式により算出します。

・屋根  屋根の水平投影面積×夏期日射侵入率×方位係数
・外壁  外壁面積     ×夏期日射侵入率×方位係数
・開口  開口面積     ×夏期日射侵入率×方位係数

尚、方位係数は屋根については常に1.0とし、外壁・開口は地域区分と各方位によって定められています。

「住宅に係るエネルギーの使用の合理化に関する建築主及び特定建築物の所有者の判断基準(平成21年改訂版)」の地域区分に応じた熱損失係数及び夏期日射取得係数の基準を参照


※平成25年省エネ法の大改正により、熱性能基準が夏期日射取得係数(μ値)による基準から、冷房期の平均日射熱取得率(ηAC値)による基準に変更されました。



●年間暖冷房負荷とは?

年間暖冷房負荷

年間暖冷房負荷とは
暖房負荷の年間積算値と冷房負荷の年間積算値を合計したものです。

暖房負荷については、暖房時期に室温をある温度に維持するために必要な暖房エネルギーの量、冷房負荷については、冷房時期に室温を温湿度維持するために必要な冷房エネルギーの量であり、いずれも値が小さければ、省エネルギー性能が優れている。
また、年間暖冷房負荷の基準値は、1年間当り・住宅の床面積1u当りの暖房及び冷房負荷の合計値の上限を、地域区分に応じて定められています。


「住宅に係るエネルギーの使用の合理化に関する建築主及び特定建築物の所有者の判断基準(平成21年改訂版)」の地域区分に応じた年間暖冷房負荷の基準を参照


※平成25年省エネ法の大改正により、年間暖冷房負荷の熱性能基準が削除されました。



断熱性・気密性の基準

省エネルギー基準

断熱材

住宅の省エネルギー化は、消費エネルギーの節約や住空間の快適性だけでなく、二酸化炭素の排出を抑えて、地球温暖化対策にも貢献しています。国は昭和55年に省エネルギー法に基づく住宅の断熱性能基準「省エネ基準」を定め、平成4年に「新省エネ基準」、平成11年に「次世代省エネ基準」と、内容の見直し・強化が図られてきました。
また、平成21年には更なる省エネルギー性能の向上を促す措置が導入され、その基準として「住宅事業建築主の判断基準」(住宅のトップランナー基準)が定められました。  これらの基準は一般的には強制力を伴いませんが、たとえば住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)の融資において、旧省エネ基準が融資要件となっており、次世代省エネ基準やトップランナー基準を満たすことで、優遇金利やその優遇金利を受ける期間が長くなったりするなどの融資面でのメリットも受けられます。

また、「住宅性能表示」の「温熱環境」については、「次世代省エネ基準」をクリアすれば最高ランクの等級4、「新省エネ基準」をクリアすれば等級3となります。  このように、「次世代省エネ基準」などは、住宅の建築における省エネ・断熱性の重要な目安となっています。

性能表示省エネルギー対策等級

住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)のフラット35S(省エネルギー性)、並びに、住宅性能表示の省エネルギー対策等級4は、「エネルギーの使用の合理化に関する法律」(昭和54年)の「建築主の判断基準」及び「設計・施工指針」が基本となり、また、フラット35S(20年金利引下げタイプ)は、フラット35Sをベースに「住宅事業建築主の判断基準」が基本となっています。

各省エネ基準については、「断熱性能の違いについて」 及び 「改正省エネルギー法(平成25年版)」を参照下さい。


断熱性能の地域区分

断熱性能地域区分

住宅の省エネルギー基準において、全国の気象条件に応じて5つの断熱性能地域に区分されています。
適合する地域区分に応じて断熱性能基準が設けられ、断熱材の厚み・防湿性・開口部の断熱性能などが規定されています。


地域区分の詳細は、住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)の断熱性能の地域区分を参照。



エネルギーの使用の合理化に関する建築主等及び特定建築物の所有者の判断の基準(省エネ判断基準(平成25年版))の別表4において、従前の6地域区分から8地域区分に改訂されています。


※平成25年省エネ法(建築主等の判断基準)の改正により、地域区分が6地域から8地域(別表第4)に改正されました。

※平成28年省エネ法(建築物省エネ法)の告示により、地域区分(別表10)が改正されました。


断熱を行う部分

断熱材必要箇所

居住空間をスッポリとつつみこむ様に、外気に接している天井(又は屋根)・外壁・床に断熱材を設けるようにします。
この場合、天井(又は屋根)における断熱材は、外気に通じる小屋裏換気口を設ける場合には天井に、それ以外の場合は屋根に断熱材を設けます。

また、床を土間床とする場合は、その外周部にも断熱工事を行なう必要があります。(尚、旧省エネ基準は不要。)


尚、土間床の外周部の断熱工事については、旧基準金利適用住宅の新省エネ基準においては対応が必要ですが、W及びX地域は不要でした。省エネ対策等級3の参考にしてください。


省エネルギー基準値(断熱材の厚み)

1),新省エネ基準値    (W地域を基本に記載しています。)

新省エネ基準による断熱材の厚みは、断熱地域区分施工部位断熱材の種類(表−1)に応じ、下記表に掲げる断熱材の数値以上の厚みが必要です。

【W地域のにおける新省エネ住宅の断熱材の厚みは下記による。】

気密住宅とする場合
部位必要な
熱抵抗値
断熱材の種類と厚み(mm)
A-1A-2BCDE
屋根又は天井1.2656055504535
0.8454040353025
外気に接する部分1.0555045403530
その他の部分0.5302525202015
土間床等の外周部外気に接する部分-------
その他の部分-------
気密住宅以外とする場合
部位必要な
熱抵抗値
断熱材の種類と厚み(mm)
A-1A-2BCDE
屋根又は天井1.8959085756555
1.2656055504535
外気に接する部分1.6858075655545
その他の部分0.9504545403530
土間床等の外周部外気に接する部分-------
その他の部分-------

【W地域のにおける新省エネ住宅の開口部の断熱性について。】

新省エネ基準でのW地域以降は、特に開口部の基準は設けられていませんでしたが、住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)の旧基準金利適用住宅 及び旧省エネルギー住宅の割増し融資を受ける場合は、熱貫流率が4.65(w/m2k)以下の建具を設ける必要がありました。

W地域以外の新省エネ基準の断熱材の厚みは、こちらを参照 ⇒  T地域U地域V地域X地域

尚、住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)では、新省エネ基準(等級3)に該当する融資は現状運用されていませんが、断熱性能レベルを図る上で参考にしてください。


2),次世代省エネ基準値    (W地域を基本に記載しています。)

次世代省エネ基準による断熱材の厚みは、断熱地域区分施工部位断熱材の種類(表-1)に応じ、下記表に掲げる断熱材の数値以上の厚みが必要です。
また、次世代省エネでは、以前までは気密住宅にすることが義務つけられていましたが、改正に伴い平成21年4月1日より気密住宅の義務付けが無くなり、壁体内結露の発生を防ぐために、新たに防湿性が要求されるようになりました。

【V〜X地域のにおける次世代省エネ住宅の断熱材の厚みは下記による。】

充填断熱工法とする場合
部位必要な
熱抵抗値
断熱材の種類と厚み(mm)
A-1A-2BCDE
屋根又は天井屋根4.6240230210185160130
天井4.0210200180160140115
2.2115110100907565
外気に接する部分3.317516515013511595
その他の部分2.2115110100907565
土間床等の外周部外気に接する部分1.7908580706050
その他の部分0.5302525202015
外張断熱工法 又は内張断熱工法とする場合
部位必要な
熱抵抗値
断熱材の種類と厚み(mm)
A-1A-2BCDE
屋根又は天井4.0210200180160140115
1.7908580706050
外気に接する部分2.51301251151008570
その他の部分-------
土間床等の外周部外気に接する部分1.7908580706050
その他の部分0.5302525202015

【W地域のにおける次世代省エネ住宅の開口部の断熱性について。】

次世代省エネ基準でのW地域は、熱貫流率が4.65(w/m2k)以下の建具を設ける必要があります。また、JIS A4706(サッシ)に定める気密性等級「A-3」若しくは「A-4」を満たすことが望ましい。

V〜X地域以外の次世代省エネ基準の断熱材の厚みは、こちらを参照 ⇒ T地域U地域


断熱材の種類  (肌色部分に記載された断熱材は透湿抵抗の大きな断熱材です。)

断熱材の種類(表-1)
記号断熱材の種別 記号断熱材の種別
A-1 吹込み用グラスウールGW-1、GW-2(施工密度13K、18K) C住宅用グラスウール24K相当、32K相当
シージングボード(9o) 高性能グラスウール16K相当、24K相当、32相当
A級インシュレーションボード(9o) 吹込み用グラスウール30K相当、35K相当
タタミボード(15o)  住宅用ロックウール(マット・フェルト・ボード)
  A種ビーズ法ポリスチレンフォーム保温板1号、2号、3号
  A種押出法ポリスチレンフォーム保温板1種
A-2 住宅用グラスウール10K相当 A種ポリエチレンフォーム保温板2種
吸込み用ロックウール25K 吹込み用セルローズファイバー25K、45K、55K
  A種フェノールフォーム保温板2種1号、3種1号
  建築物断熱用吹付け硬質ウレタンフォームA種3
  吸込み用ロックウール65K相当
  A種フェノールフォーム保温板3種2号
B 住宅用グラスウール16K相当、20K相当 D A種ビーズ法ポリスチレンフォーム保温板特号
A種ビーズ法ポリスチレンフォーム保温板4号 A種押出法ポリスチレンフォーム保温板2種
A種ポリスチレンフォーム保温板1種1号・2号 A種フェノールフォーム保温板2種2号
  A種硬質ウレタンフォーム保温板1種
  A種ポリエチレンフォーム保温板3種
  建築物断熱用吹付け硬質ウレタンフォームA種1、A種2
  高性能グラスウール40K相当、48K相当
   
   
  E A種押出法ポリスチレンフォーム保温板3種
  A種硬質ウレタンフォーム保温板2種1号・2号・3号・4号
  A種フェノールフォーム保温板2種3号
   
  F A種フェノールフォーム保温板1種1号・2号
   

※) 記号は断熱材区分を表しています。

※) 肌色の塗りつぶし欄に記入する断熱材は、透湿抵抗の大きいプラスチック系断熱材で、これらの断熱材を用いる場合においては、防湿材を省略することが可能です。


断熱材の工法

充填断熱工法とは?

柱などの構造部材間の空間に断熱材を詰め込み断熱する工法

外張断熱工法とは?

柱などの構造部材の外気側に断熱材を張り付ける工法

気密住宅とは?

隙間面積を減らすために、防湿気密シート等にて室内を覆うことで、床面積1u当たりの隙間相当面積が5.0cu以下の住宅を気密住宅と定義付けられています。尚 床面積1u当たりの隙間相当面積3.0cm2以下を高気密住宅と一般的には言われています。

省エネ法の一部改正に伴い、平成21年4月1日より気密住宅の基準は削除されましたが、改正前にて旧住宅金融公庫の旧基準金利適用住宅(新省エネルギー住宅)では、床面積1u当たりの隙間相当面積が5.0cm2以下の気密住宅が定義され、断熱地域区分のT地域のみ気密住宅とすることを要件とされていました。
また、割増し融資の適用を受ける旧優良住宅取得支援制度の次世代省エネでは、全ての地域に気密住宅を要件とし、T・U地域では隙間相当面積2.0cm2以下、その他の地域は5.0cm2以下とすることが規定されていました。
尚、気密住宅の数値化や運用について「エネルギーの使用の合理化に関する法律」から削除されましたが、住宅金融支援機構の工事仕様書には、遵守事項のアンダーラインは削除されていますが、地域によっては気密住宅仕様とすることが望ましく、気密工事の基準が掲載されています。

気密住宅では、気密性が高まることで計画換気(24時間換気システム)が必要です。24時間換気システムについてはこちらを参照して下さい。
気密住宅の詳細仕様についてはこちらを参照して下さい。→気密住宅の仕様


防湿材・防風材の対応

透湿抵抗比

壁体内結露を防ぐ意味で、グラスウール・ロックウール・セルローズファイバー等の繊維系断熱材 及び プラスチック系断熱材のうち建築物断熱用吹付け硬質ウレタンフォームA種3 又はA種フェノールフォーム3種2号、その他これらに類する透湿抵抗の小さい断熱材を使用する場合は、防湿材等を室内側に施工して防湿層を設けることが求められています。

但し、土塗壁の外側に断熱層が有る場合や、床断熱において断熱材が床下に露出する場合 又は湿気の排出を妨げない構成となっている場合は、防湿材を行なわなくてもよいとされています。

また、断熱層が単一の材料で施工され、透湿抵抗比が定められた値以上である場合も防湿材を設けなくても良い事になっています。



また、外部側に通気層を設ける場合には、通気層から断熱材に外気や雨水が侵入しないように、透湿性のある防風材を設けることが望ましく、フラット35S(次世代省エネ)では融資の必須条件となっています。

透湿抵抗比の詳細は、「透湿抵抗比について」を、また、各建築材料の透湿抵抗値については、「建築材料の透湿抵抗値」ご覧ください。
また、上記「断熱材の種類」の肌色に塗りつぶしている欄に記入する断熱材が、防湿材が不要な断熱材です。



開口部の断熱性

サッシの結露

窓などの開口部は、厚みはなく隙間があるため、流出する熱エネルギーの割合は約48%にもなると言われています。2枚のガラス間に乾燥空気を封入した複層ガラスは、単板ガラスと比較して約1.5倍の断熱性能があります。

熱の流出


また、単板ガラスでは室内外に大きな温度差ができると、ガラス面に結露することがあります。複層ガラスでは、単板ガラスに比べ断熱性能が優れ、結露も発生しにくくなります。
また、アルミと樹脂を組み合わせて作られた複合樹脂サッシでは、ガラス面以外の結露も防ぐことができます。

複層ガラスと複合樹脂サッシの構造

更に、省エネ効果を上げるために、特殊金属をコーティングした板ガラスを室内側に設ける高断熱複層ガラス(寒い地域)や外部側に設ける遮熱複層ガラスなどもあります。


高断熱複層ガラスとは?

複層ガラスの室内側の中空層側に特殊金属をコーティングされた板ガラスを使用することで、日射エネルギーを効率よく採り入れ、しかも暖房熱は室内側に反射させることにより、暖房効果にすぐれた断熱ガラスです。寒いT地域・U地域に適した複層ガラスです。

遮熱複層ガラスとは?

複層ガラスの室外側の中空層側に特殊金属膜をコーティングされた板ガラスを使用することで、断熱性能と日射熱軽減性を兼ね備えた複層ガラスです。
夏場の太陽の日射を抑え、冬場の室内暖房熱を逃がさないため、夏の冷房効果に優れた断熱ガラスです。

断熱複層ガラス

開口部の断熱性能基準はこちらをご覧下さい。


住宅事業建築主の判断基準

事業建築主の判断基準の位置付け

従来、住宅の省エネルギー性能については、住宅の外壁、窓等を通しての熱の損失を防止することを目的とした「建築主の判断基準」及び「設計・施工指針」が定められ、全ての住宅の建築主に断熱構造化などの措置を努力義務として課し、住宅の省エネルギー性能向上の誘導が図られてきました。
これにより新築される住宅の断熱性能は向上されてきましたが、一方で、家庭部門のエネルギー消費量やそれに起因するCO2 排出量は依然増加傾向にあり、住宅の省エネ対策の一層の推進が求められています。

そこで、戸建住宅の仕様・性能を決定し、設計・新築し販売することを業とする住宅事業建築主に対し、自らが新築・販売する建売戸建住宅について、目指す省エネルギー性能を新たに定められたものが「事業建築主の判断基準」です。


この「事業建築主の判断基準」は、断熱性能については次世代省エネ基準とし、さらに住宅に設ける冷暖房設備や給湯・換気・照明などの各設備の一次エネルギー消費量を抑えるようにエネルギーの消費量の基準値が設けられ、「住宅のトップランナー基準」と言われています。


事業建築主の判断基準の達成率

個々の住宅の一次エネルギー消費量に係る基準値は、気候条件に基づく地域区分、暖房・冷房方式、換気方式に応じて定められています。
  こちらの事業主の判断基準の地域区分を参照下さい。

住宅事業建築主が新築・販売する評価対象住宅の断熱性能、空気調和設備や給湯設備等の設備機器の仕様・性能から算定される一次エネルギー消費量と基準値の比率である基準達成率を求め、それぞれの住宅の省エネルギー性能を評価します。

住宅事業建築主は、目標年次に新築・販売する建売戸建住宅の基準達成率の平均が100% を下回らないように努めなければなりません。


評価対象住宅の一次エネルギー消費量(A)暖房設備の一次エネルギー消費量
(B)冷房設備の一次エネルギー消費量
(C)給湯設備の一次エネルギー消費量
(D)換気設備の一次エネルギー消費量
(E)照明設備の一次エネルギー消費量
(F)[ 太陽光発電設備等による発電電量−(売電+家電機器消費相当分)]

尚、一次エネルギー消費量を確認するツールとして、(財)建築環境・省エネルギー機構のホームページにて、算定用シートと算定用Webプログラムがあり、一次エネルギー消費量を確認することができます。



平成25年省エネ法の大改正により、一次エネルギー消費量基準が新たに導入されました。その後「建築主等の判断基準(略称)」の改正及び「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(平成28年改訂版)」の公布等にて、下記のように改正されました。


住宅トップランナー制度

「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律」の公布に伴い、住宅のトップランナー基準についても、@一次エネルギー消費量基準の導入。A外皮の断熱性能について、熱損失係数(Q値)から外皮平均熱貫流率(UA値)、夏期日射取得係数(μ値)から冷房期の平均日射熱取得率(ηA値)へ改正対応がおこなわれました。
また、トップランナー基準の適合対象が従前の特定建築主の新築する分譲型一戸建て規格住宅(建売戸建住宅)に、特定建設工事業者が新たに建設する請負型規格住宅(注文戸建住宅と賃貸アパート・長屋)が加えられ、努力義務として建築物のエネルギー消費性能の向上を図るように強化されています。

分譲型一戸建て規格住宅の基準

令和2年度以降に新築する建売戸建住宅は、地域区分(別表10)ごとに応じた外皮平均熱貫流率(UA値)基準と冷房期平均日射熱取得率(ηA値)基準に適合し、各年度に新築する住宅部分の設計一次エネルギー消費量の合計が、当該年度に新築する分譲型一戸建て規格住宅の特定建築主基準一次エネルギー消費量の合計を超えないこと。


特定建築主基準一次エネルギー消費量とは、下記の式により算出した数値となります。


令和元年度までに新築する建売戸建住宅       EST={(ESH+ESC+ESV+ESL+ESW)×0.9+EM}×10−3


令和2年度以降に新築する建売戸建住宅       EST={(ESH+ESC+ESV+ESL+ESW)×0.85+EM}×10−3


尚、特定建築主とは、分譲型一戸建て規格住宅を年間150戸以上新築する建築主です。

請負型規格住宅の基準

令和6年度以降に建設する注文戸建住宅・賃貸アパート・長屋は、地域区分(別表10)ごとに応じた外皮平均熱貫流率(UA値)基準と冷房期平均日射熱取得率(ηA値)基準に適合し、各年度に建設する住宅部分の設計一次エネルギー消費量の合計が、当該年度に建設する請負型規格住宅の特定建設工事業者基準一次エネルギー消費量の合計を超えないこと。


特定建設工事業者基準一次エネルギー消費量とは、下記の式により算出した数値となります。


令和6年度以降に建設する注文戸建住宅             EST={(ESH+ESC+ESV+ESL+ESW)×0.8+EM}×10−3


令和6年度以降に建設する賃貸アパート・長屋          EST={(ESH+ESC+ESV+ESL+ESW)×0.9+EM}×10−3


別途定められる年度以降に建設する注文戸建住宅       EST={(ESH+ESC+ESV+ESL+ESW)×0.75+EM}×10−3


尚、特定建設工事業者とは、請負型規格住宅の一戸建ての住宅で年間300戸、長屋・賃貸アパート等で年間1000戸新築する建設工事業者です。また、別途定められる年度以降とは、経済産業大臣及び国土交通省大臣が令和6年度以降において今後定められた年度となります。


【参照】
法律関係  外皮性能基準値(外皮平均熱貫流率(UA値)基準と冷房期平均日射熱取得率(ηA値)基準)と算出方法 及び 設計一次エネルギー消費量の算出(算出式算出式の内訳
評価方法  建築物省エネ法の戸建住宅の評価方法



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