住まいづくりの知識上手/住まいづくりで必要な費用(予算計画)

新築住宅に必要な総費用(予算計画)


家を新しく建てるには、さまざまな項目の費用が必要です。ここでは建築費などの、新築を行う上で必要な総費用についてまとめていますので参考にして下さい。


●新築住宅に必要な総費用

新築に伴う総費用を、建築本体工事費(工事請負契約内の項目)とその他の工事請負契約以外の諸費用に大きく分けています。

総費用 建築本体工事費 建築主体工事費 仮設工事から基礎工事・木工事など躯体や仕上げ工事などの建築工事費用。
付帯工事費 給排水・給湯・電気・ガスなどの家屋に付帯する各種設備工事費。
諸経費 現場管理などの費用。
諸費用 別途工事費 解体・地盤補強・外構・造園・本管引込み工事費及び分担金・インテリア・家具などのほか、電話配線・TVアンテナ・空調などの設備工事も別途工事扱いが一般的です。
設計関係費用 設計・監理及び行政への各種申請などの設計関係の費用や敷地調査・地盤調査などの調査費用。
借入関係の費用 団体信用生命保険・保証料・火災保険・ローン手数料・抵当権設定登記費用や印紙代などの事務手続き関係に要する費用。
祭典などの費用 地鎮祭・上棟式などの祭典費や近隣への挨拶・工事中の職人さんへの接待にかかる費用など。
引越などの費用 引越し代や建替えの場合の仮住まい費用や雑費など。
入居後の税金 不動産を取得したときにかかる税金。

※住宅メーカーの場合は、設計関係費用(設計費・調査費)は、工事請負契約に組み込まれています。また 本管引込み及び分担金は預かり金処理などで建物引渡し時に、最終精算対応としている場合が多いです。


◎新築住宅に必要な総費用

新築住宅に必要な総予算の検討(予算計画)シュミレーションはこちらへ。

建築本体工事費の内訳

●建築主体工事費

建築主体工事の各種工事費の内容です。建物の構造・仕上材などで、工事項目も変わりますが主な項目を記載しています。

建築主体工事費 仮設工事費 施工のための足場、工事用の電気・水道の費用、水盛り・遣り方や墨だしなどの建物の位置と高さなどを決める費用、現場の清掃・片付けや養生費用、廃材処分費などの工事を円滑にに進めるための必要な費用。
基礎工事費 地盤の掘削・地業(栗石・転圧・捨コン)や基礎の配筋・型枠・コンクリート打ち込みなどの、建物の基礎部分を施工する費用。また 布基礎の場合の防湿コンクリート・防湿シートやテラス・玄関土間のコンクリート打ち、束石ブロックなどが扱われます。
※地盤が弱ければ、地盤補強工事が発生します。(通常は別途工事)
木工事費 骨組み(土台・柱・梁などの構造材)や下地(胴縁・根太・野地板・合板など)などの木材を使用する費用で、木材費・プレカットなどの加工費・接合に使う金物や釘などの費用 及び 大工さんの手間代など。また 和室廻りで使用される造作材(敷居・鴨居・床框・床柱・長押・落と掛けなど)や既製床束(プラ束、鋼製束など)・既製吊木(防振吊木など)・基礎パッキンもこの項目で扱われる場合もあります。
屋根工事費 屋根下地のルーフィングやコロニアルなどの屋根仕上にかかる費用で、水切り(棟押さえ・谷樋など)・棟換気なども屋根工事として含まれます。
外壁工事費 外壁にかかる費用で、下地までは大工さんが施工するので、それ以外の外壁仕上げ(通気シート・通気胴縁・サイディング・水切り・シーリング・・・サイディング工事費やアスファルトフエルト・モルタルラス・モルタル下塗り 上塗り・・・左官工事費など)に関する費用。
※仕上材によって見積項目が変わります。
防水工事費 バルコニーなどの防水工事にかかる費用で、最近ではFRP防水が主流。責任施工で、床、壁立ち上がりまでの仕上げを含む。
樋工事費 軒樋・竪樋などの、建物側の雨水排水処理にかかる費用で、竪樋の端部(地面まで)からは、外部の排水設備工事扱いになります。
鋼製建具工事費 アルミ製の関係の費用で、基本的にガラス・網戸まで含みます。また 雨戸シャッター面格子・飾り格子も鋼製建具工事で扱われます。
※ユニットバス入り口建具は、ユニットバスセット品で鋼製建具工事費には含まれません。
木製建具工事費 室内に使用する木製建具関係の費用で、最近主流になった既製建具や和室に使われる襖・障子・戸襖などの費用です。
金物工事 バルコニーアルミ笠木・物干し金物・軒先換気などの費用。
※建具に使用される建具金物は、建具工事で扱われる。
建材費 仕上に使用される材料(フローリング・幅木・廻縁・見切材・額縁・上框・縁甲板・ピーリング・化粧パネル・化粧ボードなどの化粧合板)や石膏ボード・OSボード・フレキシブルボード・珪酸カルシウム板などのボード材料費および断熱材費用など。
塗装工事費 ペンキやオイルステンなどの塗装関係の費用。
タイル・石工事費 玄関土間や外壁などに使用されるタイルなどの費用
内装工事費 クロスクッションフロアー(CF)・カーペットなどの仕上げ関係の費用。
住設費 システムキッチン・ユニットバス・洗面化粧台・玄関収納ユニット(下駄箱)・防水パン・衛生陶器などの住設の費用。
雑工事費 防蟻・・コーキング・手すり・アクセサリー商品(タオル掛け・ペーパーホルダーなど)・美装など。

※上記、主体工事費は木造在来工法の参考例です。


●付帯工事費

付帯工事費の各種工事の主な内容です。建物に付帯する各種設備工事に該当しますが、本管引き込み設備工事など、見積りに含まれていないケースが多いので、事前に調査の上、必要な場合の予算組みを忘れずに。

付帯工事費 給排水衛生設備工事費 給水メーターから水栓までの給水に関する費用。(引き込み工事・水道分担金は別途)
水栓の位置から敷地内最終枡までの排水に関する費用。
竪樋端部から敷地内最終枡までの排水に関する費用。
最終枡から本管の接続工事は通常は別途扱いです。また 水栓器具や便器などもこの項目に含まれる場合もあります。
※住宅メーカーの本体価格は建物から1m程度までの場合が多いです。
電気設備工事費 電灯照明スイッチコンセント・TV・インターホン・電話(空配管)・24時間換気システム分電盤などの配線・配管や機器取りつけに関する費用で、引き込み工事や電話配線・TVアンテナは別途工事扱いの場合が多いです。
ガス工事費 ガス栓及び必要ヶ所からガスメーターまでの配管に要する費用。引き込みは、特殊な場合を除いてガス会社が無償で対応してくれます。また 都市ガスが供給されていない場合は、建築本体工事に含まず別途工事扱いになります。基本的には、その地域を担当するプロパンガスの会社が無償で建物内部まで対応してくれます。

●諸経費

現場管理に必要な費用です。施工の難易度(敷地の条件・建物の構造・仕様・特殊な納まり)などで費用は変わりますが、一般的には建築主体工事費と付帯工事費の合計金額の8%〜10%位が目安です。

諸経費 現場管理に必要な費用で、事務・通信・運搬・監督の人件費などにあたります。

◎参考見積

当研究所が設計した一般的な木造軸組工法2階建住宅の見積参考例はこちらへ。


建築本体工事費以外の必要な費用 (諸費用)

別途工事費

建築本体工事費に含まない費用で、不確定要素の項目や行政(役所)が介入するような項目、また  建築主の方で対応する場合などが該当します。

別途工事費 解体工事費 建替えの場合や購入した土地に建物が建っている場合の、解体撤去費用です。
地盤補強工事費 軟弱な地盤の場合は、地盤補強工事が必要です。既存建物撤去後、地盤調査によって地盤補強が必要か、また 必要な場合の補強方法をどうするか検討した上で見積されます。更地の場合は、建物の形状と配置が決まれば、地盤調査を早期に行い建築本体工事内で扱うことができます。
引き込み工事費 給排水関係の引き込みは、役所が指定した水道設備業者が施工することになります。また 本管の位置(道路境界線の寄り寸法・深さ)や道路舗装の仕様によって工事費も変わるため、別途扱いとして請負契約後の見積対応となる場合が多いです。
外構工事費 工事の工程が、建物がほぼ出来上がってから施工するため、同じ建築会社が施工する場合でも、別途契約で行なう場合が主流です。(建物の引渡の関係)
照明器具費 住宅メーカー等では、廊下やトイレ・洗面脱衣などの水廻りやどうしても建築工事にて先行して取り付けるタイプの照明器具(ダウンライト・外部建物に取り付けられる照明など)は、建築本体工事費に含めますが、各居室などの照明器具は含まれていません。
※別途照明器具の費用は、リンク集5の照明器具サイトを参照下さい。
※ユニットバスや洗面化粧台などの照明器具は、その住設機器本体に含まれています。
空調設備工事費 クーラー用のコンセントまでは建築本体工事に含まれますが、クーラーの機器 及び 取り付け工事費は別途工事扱いが多いです。
※別途扱いのクーラー関係の費用は、リンク集5のクーラー関係のサイトを参照下さい。
カーテン等内装関係 カーテン及びカーテンレールやブラインドなどは基本的に別途工事扱いです。
※費用については、リンク集5のインテリア関係のサイトを参照下さい。
その他 TVアンテナ工事費・共聴アンテナ受信工事・地中内埋設物撤去・道路後退による側溝整備工事・小運搬費用などが考えられます。
※別途扱いのTVアンテナ費用については、リンク集5のその他を参照下さい。

解体工事費    解体する建物の構造・規模・敷地条件によって解体費は異なります。

木造2階建て・・・・・・・・3.5万円/坪程度(目安)

地盤補強工事費  支持層までの深さと地盤補強の方法でコストは異なります。

地盤改良工事・・・・・・・・10万〜15万程度(目安)

柱状改良工事・・・・・・・・50万〜60万程度(目安)


●設計関係費用

設計費用 設計費 初期段階の計画設計から、詳細設計(実施設計)、確認申請、仕様確定(色・柄決め)、工事監理などの設計費用。
調査関係費用 敷地調査費 敷地の形状・高低差・隣家との位置関係・道路の形状・設備関係(給水・排水・電気などの引き込み関係)の現地調査や役所調査を行い、設計・見積に反映させるための調査費用。
※シンプルな敷地形状は不要な場合があります。
地盤調査費 地盤の強さを測るための費用。一般的には簡易なスウェーデン式サウンディング調査が主流です。
擁壁を設ける場合は、ボーリング調査の方が経済設計はできます。

契約(工事請負契約若しくは設計契約)までの、初期計画設計は無償が通例になっていますが、実際は契約金額内に含まれます。

設計費  ・・・・・・・・・建築本体工事費の8%〜12%程度(設計事務所依頼の場合の目安)

調査費用 ・・・・・・・・・敷地調査・地盤調査合わせて10万円程度(目安)

※設計・施工(住宅メーカー等)での依頼の場合は、設計費は工事請負契約に含まれます。設計費は、設計の標準化・工事管理と工事監理の兼任などで安くおさえられています。
敷地調査は、シンプルな敷地の場合は不要な場合もあります。(住宅メーカーは必須)



●借入にかかる費用

銀行の住宅ローンや住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)などから融資を受ける場合に必要な費用です。

1,団体信用生命保険 融資を受けた人が、不測の事態で返済が出来なくなった場合の生命保険料です。

公庫団体信用生命保険料


銀行融資の場合は、銀行負担。
フラット35の融資の場合は、毎年1回支払いが発生します。
金額は【表−1】を参考にして下さい。
尚、平成21年4月以降は、初年度28.100円から35.800円にUPします。

住宅ローンの基礎知識/住宅ローンで必要な諸費用を参照下さい。





2,保証料 融資を受けた人が、死亡や病気以外の理由で返済が出来なくなった場合の保証保険料です。

銀行融資の場合は、借入額の2%〜3%程度。
フラット35の融資の場合は不要です。

住宅ローンの基礎知識/住宅ローンで必要な諸費用を参照下さい。



3,火災保険料 融資を受ける場合は、火災保険加入が義務付けられています。

保険料は建物の構造・所在地・保険期間などで異なります。

保険金額は2000万で、準耐火・保険期間20年で約14万円程度。
同上で木造の場合は24万円程度。


※ 尚 地震保険は任意です。火災保険と同様に、建物の構造・所在地・保険期間で保険料が異なります。

目安として、火災保険料の30%〜50%の費用が必要です。

住宅ローンの基礎知識/住宅ローンで必要な諸費用を参照下さい。





4,抵当権設定登記費用 融資の抵当権を敷地・建物に設定する場合に必要な費用です。

登録免許税

登録免許税

借入額の0.4%ですが軽減措置で0.1%となります。
【表−3】参照

旧住宅金融公庫及びフラット35の融資の場合は無税でしたが、改正によりフラット35も課税されるようになりました。
詳細については、住宅ローンの基礎知識/住宅ローンで必要な諸費用を参照下さい。


司法書士手数料

8万円〜10万円程度の手数料が必要です。
目安として登録免許税と合わせて15万円程度必要です。



5,融資事務手数料 ローン借入の金銭消費貸借契約時に融資手数料が必要です。

費用については、金融機関によって異なりますが、平均的な手数料は3万円〜5万円程度。

詳細については、住宅ローンの基礎知識/住宅ローンで必要な諸費用を参照下さい。


6,つなぎ融資経費 公的融資の場合で、融資実行よりも、建物の引渡しが先行する場合に、一時(融資実行までの期間)、銀行に借入れする場合に発生する費用です。

つなぎ融資のしくみ

財形住宅融資など公的融資で、建物の引渡しが済んで、建物が借入者の名義になってからしか、融資の実行は出来ません。建物引渡し時、一時的に銀行でつなぎ融資を行い、それを建築費の最終金の支払いに充当して建物の引渡しを完了させます。遅れて公的融資が実行された時点で、つなぎ融資の返済を行います。その間のつなぎ融資の金利や印紙代などの経費が発生します。
つなぎ融資でかかる経費は、融資額・期間により決定されます。


※融資関係については、リンク集7に掲載しているサイトも参考にして下さい。



その他の費用

1,契約関係の印紙代 設計契約や工事請負契約・金銭消費賃借契約などの契約書には印紙税がかかります。

印紙税額

2,引越し費用など 引越しの費用(建替えの場合は2回必要)・仮住まい費用(建替えの場合)・家具などが多い場合の仮置き費など。
※費用については、リンク集4の引越し関係のサイトを参照下さい。

     


3,祭典費など 工事着工前の地鎮祭・建物の骨組みが施工できた時点での上棟式を行う場合に必要な費用。
また 着工前の近隣へのあいさつ廻りや工事中の職人さんへのもてなしにかかる費用も予算組みを忘れずに。

地鎮祭・・・神主さんへのお礼  3万円〜5万円程度

   ・・・祭壇費       3万円〜5万円程度

   ・・・職人さんへの祝儀など   全て合わせて10万円〜12万円(地鎮祭費用の目安)

上棟式・・・住宅の場合は神主さをよばない方が多いです。   職人さんへの祝儀・接待程度。


入居後の諸費用

1,登記費用 建物の所在地・種類・構造・床面積を明らかにする表示登記と所有権を明確にする保存登記が必要です。
融資を受ける場合は、金銭消費賃借契約時の抵当権設定登記と同時に行います。

登録免許税(抵当権設定登記【表−3】参照)と司法書士の手数料が必要です。

目安として、合わせて12万円〜15万円程度。


2,不動産取得税 新しく不動産を取得した時にかかる地方税です。

不動産種別 対象評価格 税率 優遇措置
土地 固定資産税評価格 4% 当初の税額から45.000円減
家屋 固定資産税評価格 3% 床面積50u〜240u以下の場合は、固定資産税評価格から1.200万円が減額できる。

長期優良住宅の認定を取得すると、税金の優遇措置がうけられます。    詳しくは、長期優良住宅をご覧ください。



尚。ここでは建築費などの、新築を行う上で必要な総費用について掲載しておりますが、融資などの資金関係については、住宅ローンの基礎知識を参照下さい。



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